概要・年表

昭和時代

八十川ボーク事件(6年)で出場辞退

本拠地は駒澤から和泉に(5年)

 

昭和に入ると明大の黄金時代だ。まず2年秋に六大学になって初優勝、3年春にも8戦全勝で優勝した。連続優勝も初めてならば 全勝優勝もこれまた初めて。
 
 この連覇は中村峰雄投手の大活躍によるところ大。2シーズンとも8勝のうち7勝を一人で勝ち取り、2年秋には15試合のうち13 試合に登板して完投7、完封4。3年秋の明法2回戦ではノーヒットノーランをやってのけた。投ゴロを一塁に悪投して完全試合の大記録を逃しのは惜しみてもあまりある。
 
 連続優勝のメンバーは次の通り。カッコ内は3年春のレギュラー。投手=中村峰、中津川、中村国、捕手=手塚(井野川)、一塁=松木、鷲尾、二塁=永沢、米沢弟、三塁=高橋(角田)、遊撃=林(田部)、左翼=桜井、中堅=長谷川(桝)、右翼=銭村。
 
 4年には春のリーグ戦を辞退して3回目のアメリカ遠征。3月15日に日本を出発、米本土からロンドンに渡り、欧州、香港、中国 と日本の野球チームでは初の世界一周の壮挙をやってのけた。留守軍は満鮮遠征、新人は北海道遠征。六大学の黄金期を象徴するデレゲーションだ。  
 
 又この年には鬼塚投手が明きの明法1回でノーヒットノーランを達成。六大学がつくった専属審判として明大OBから天知俊一、横沢三郎両氏が就任した。
 
 5年にはグランドと合宿が、和泉校舎(杉並区和泉)のそばに完成。7月12日に引越し、8月3日に球場開き。野球部は駒沢から和泉へと引き継がれていった。 二階建ての合宿はなかなかモダンな建物で、この辺にも明大野球部の力を見ることができる。
 
 6年になるとかの有名な八十川ボーク事件が起きた。春のリーグ戦、早明戦に連勝と快勝のすべり出しを見せた。慶明戦1回戦に負け、5月18日の2回戦。二番手の八十川投手が八回裏一死一、三塁で、 三塁にけん制すると見せて一塁に投げた。慶大の抗議でこれがボークにとられ、結局6-7で敗れたが、試合後、、明大学生が慶大の選手や、審判に乱暴したことから騒ぎが大きくなり、 リーグ戦途中から出場辞退した。又この問題で審判団も対立、全員辞職したため、専属審判制度は廃止となった。
 
 夏に1軍がハワイ、2軍は上海に遠征、そして秋のリーグ戦から復帰。一度岩本部長とともに責任を取って辞退した岡田監督は、再びチームに復帰したが、岡田監督を 補佐するため谷沢梅雄氏が助監督に就任、岡田-谷沢の名コンビの登場となった。
 
 7年は前年優勝の立大が渡米したのでリーグ戦は出場辞退。早大は連盟の組織改革を叫んで脱退。4チームによる変則的なリーグ戦になったが、投手陣の潰滅で初めて最下位に転落した。なお6年の暮れから7年にかけて初めて台湾遠征を行い、12勝全勝の好成績を収めたが、全台湾戦の44点、本塁打7本は台湾野球のレコードだった。
 
 8、9年の二年間だけ、文部省の横やりでリーグ戦は1シーズン制となった。春は各校1回総当り、秋は、2,3回戦と行い一年間15試合制。
8年は、10勝と勝ち星は立大同数だったが、負け数が明大の方が1つ多かったため、優勝を逃してしまった。立大に2勝1敗と負け越したことと、帝大に三連勝できなかったことが響いた。しかし岩本義行選手が予科2年ながらコンスタントに打つ3割9分の高打率リーディングヒッターになって気を吐いた。
六大学になってから明大が生んだ初の首位打者である。又この年限りで卒業した松井選手はタイトルこそ取らなかったが、通算安打1位(88安打)、最多塁打3位(120)、終身打率2位(3割1分9厘)とすばらしい成績を残した。9年も1・5勝で法大に及ばず、早大と同率2位、夏には1軍がハワイ、2軍が上海と海外遠征したが、それよりもハイライトは甲子園3連覇の中京商から吉田、杉浦両選手が入学したこと。出場資格ができた秋のリーグ戦には2人ともレギュラーとなり、その前入学していた桜井、垣川、村上とともに黄金時代の到来告げるものであった。
 
 この年限りで岡田監督が勇退、代わって谷沢助監督が昇格したが、大鹿選手、折井選手とあいついで死去。野球部育ての親とも言うべき内海弘蔵先生も12月7日脳溢血のため他界されるという悲報が重なった。
 
 11年には、春に3シーズン振りの優勝、秋には岩本選手が明帝1,2回戦でホームランを連発、1シーズン3ホーマーの驚異的な記録をつくった。吉田投手のカムバックと、岩井、室井、吉田、坂田と4人もベストナイン入りをだすなど攻撃陣も好調。それと谷沢監督の好采配があって優勝を勝ち取ったわけだ。
 
 このメンバーが主体となって六大学史上初めての4連覇となるわけだ、優勝メンバーは次の通り。投手=吉田、田所、捕手=桜井、東本、室井、一塁=坂田、太田、二塁=垣川、亀田、三塁=二瓶、遊撃=杉浦、左翼=尾茂田、角谷、北沢、中堅=村上、小林、右翼=岩本。
 

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